離婚当時を振り返る -離婚して約4年さんの離婚体験記

令和2年度の司法統計によれば、婚姻関係事件申し立てにおける動機ベスト1位は、男女ともに「性格が合わない(性格の不一致)」である。例にたがわず、私と元夫も統計に沿い「性格が合わない」ことによる離婚となり、現在私はひとり親、いわゆる「シングルマザー」である。

元夫とは大学生の頃からの付き合いで、一緒にいることが当たり前のような距離感であった。変わったのは子供を持つと決めたあたりからである。私は産後に鬱のような状態になり、彼に当たることが増えていた。特に大きな原因はなかろうと自分では思うが、小さなことが積もりに積もり、彼は突然「もう一緒に住めない」と言い、私と子供を置いて出ていった。そのまま離婚調停になり、離婚に至る。この点については元夫にも言い分があるだろうと思うので、言及を控える。

当時の私は保育園の応募に全て落ち、結婚前から勤めていた職場を退職し、無職の状態であった。子供はプレ幼稚園に通う、2歳。最初は「離婚を考え直してくれ」「せめて私の職が見つかるまでは」と引き留めていたが、妻子を置き勝手に別居を始める身勝手さ、私を傷つける言葉、算定表に満たない婚姻費用、何度言っても元夫の口座に振り込まれ続ける児童手当等、理解できない彼の言動に「早めに離婚すべきだ」と思い直すようになった。

元夫が家を出て離婚を言い渡されてから3カ月ほど経過した頃、生活の立て直しのため、まずは地元に引っ越し息子との2人暮らしの体制を整えた。ほぼ着の身着のままで引っ越したので、最初は食卓テーブルや冷蔵庫すらなく、床に座って幼児用の小さな机で息子とご飯を食べた。冷蔵庫が届いた日は「これで食べ物を保存できる!」と嬉しかった。引っ越し費用や家電や家具のお金は、独身時代の貯金から出した。とはいえ貯金は少なく、目減りする残高に怯えていた。

引っ越して2カ月ほどは無職で、ずっと子供とふたりだった。平日昼間はなるべく公園や水族館、ショッピングモールなどに出かけたが、親子連れを見かけるとつらい気持ちになったため、土日は家にいることが多かったように思う。夜は未来への不安でよく眠れず、夜中に目が覚めるたびに「あぁ、夢じゃない。これが現実か」と絶望的な気分になることも多かった。子供はまだ未就学児で預け先は決まっておらず、自分は無職で、これからやっていけるのかな、やるしかないんだけど、やっていけなかったらどうなるんだろうとずっと考えていた。この点、妊娠出産でも仕事を手離すことなく持続でき、子供が手元にいない元夫は、無傷で自分のキャリアを持続できたので楽だったと思う。妊娠出産でキャリアに影響が出るのは女だなと痛感した。

この無職の時期に、調停へ向けて弁護士についてもらった。無料相談で2~3件の弁護士事務所を回り、最終的には離婚問題に強いという事務所の、女性の弁護士さんにお願いした。弁護士代を出せる余裕はなく不安であったが、今思えば本当に頼んでよかったと思う。離婚・面会交流・婚姻費用分担調停の3つを抱えていたし、初めての経験で勝手がわからなかった上、当時やけに強気に見えた元夫と、直接やり取りをしなくて済む安心感があった。

市役所に出向いたが子供の預け先が見つからなかったので、託児付きの職場を探し、アルバイトを始めた。個人的にはこのバイトが私を救った。お金の面でも助かったし、何より離婚により下がっていた自己肯定感が大いに回復された。

職場には離婚経験のあるひとり親の女性が多く、またその全員が明るく朗らかに働いていた。「離婚してもまた心から笑える日が来るから大丈夫」という言葉をもらい、実際皆がその通りに過ごせている様子を見て、とても励まされた。私が在籍している間にまさに離婚が成立した人もいた。その女性が朝礼で離婚を報告した際に、「おめでとうございます」と拍手が巻き起こったことが忘れられない。離婚の決意から成立まで長期間かかったかたなら、この「おめでとう」の喜びがわかるのではないかと思う。

とはいえ、一般的にはまだ離婚に対する「惨めで可哀そう」という悲壮感漂う偏見が根強いことも事実だと思う。職場によっては離婚の話題を避けられ腫れ物のように扱われたり、「また再婚できるよ」という謎の励ましを受けることも多い。子供もいるので離婚はしないで済むのが最も良かったと思うし、自分も離婚を経験しなければ偏見を持つ側であっただろうと思うので、そのことについて相手を責めるつもりもない。

実際、シングルマザーである自分が「惨めで可哀そう」かどうかは判断のしようがないが、現在私は、自分の人生として納得のいく、「幸せだ」ときっぱり言える生活を送れている。今後の人生において一番良かったのは、以前よりまわりの人に感謝し働けるようになったこと、相手のことを考えられるようになったことだと思う。辛く苦しい経験をなかったことにはできないが、その経験が持つ意味は変えることができるので、反省できるところは反省し、あとはなるべくプラスの意味に変えていきたいところである。もちろん息子には息子なりの感情や葛藤があると思うので、どう感じているのか計り知れないし、ひとり親で申し訳ない気持ちはある。引き続き、今の自分にできる最大限のフォローをしていきたい。

人生において、未婚既婚、子供の有無、離婚経験の有無などのステータスは大した問題ではなく、「自分が納得できているか」が重要なのではと思う。もし今、世間体を気にして離婚をためらっているとか、離婚後の生活が不安で動けないという人がいるなら…私は離婚を勧めることはしない。ただ、「自分が納得できる選択」をしてほしいと願う。